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エッセンシャルオイルの魅力を徹底解説|日常生活に取り入れる方法

健康?医療
若林 英嗣

リラックスしたいときや集中力を高めたいときなど、日常生活のさまざまなシーンにおいて活躍するエッセンシャルオイル。

定番の香り以外にもさまざまな種類が存在し、抽出方法によっても香りの現れ方に違いがあります。

本記事では、エッセンシャルオイルの種類や日常生活に取り入れるための使い方、香りの選び方などを詳しくご紹介します。

エッセンシャルオイルとは?

はじめに、そもそもエッセンシャルオイルとは何なのか、主な成分と抽出方法についてご紹介します。

エッセンシャルオイルの定義

エッセンシャルオイルとは日本語で「精油」ともよばれ、植物由来の複数の有機化合物によって精製された素材です。

公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)ではエッセンシャルオイルを以下のように定義しています。

精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。

各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものである。

出典:【日本アロマ環境協会】精油とは

ちなみに、「オイル」や「油」という文字が含まれていますが、エッセンシャルオイルはオリーブオイルやごま油のような油脂類ではありません。

エッセンシャルオイルの主な成分

エッセンシャルオイルを構成する有機化合物とは、具体的に以下の成分が挙げられます。

  • 炭化水素類
  • アルコール類
  • アルデヒド類
  • ケトン類
  • エステル類
  • フェノール類
  • フェノールエーテル類
  • ラクトン類
  • 酸化物?オキサイド類
  • カルボン酸?有機酸類 など

上記はあくまでも有機化合物の大分類であり、たとえばアルコール類の中にもメントールやリナロール、サンタロールなどさまざまな成分が存在します。

エッセンシャルオイルは数十、数百種類の成分で構成されており、これらの働きによって独特の芳香が楽しめるのです。

エッセンシャルオイルの抽出方法

エッセンシャルオイルを抽出するにはいくつかの方法があり、香りの出方やコスト面などさまざまな違いが見られます。

抽出方法抽出の手順特徴
水蒸気蒸留法蒸留釜の中で原料となる植物を蒸す冷却管で水蒸気を冷やして液体化する低コスト抽出量が多いハーブ類(ラベンダー、ローズマリー、ミントなど)の精油抽出に向いている
圧搾法果実の皮を潰し液体を抽出する不純物を取り除きエッセンシャルオイルを分離する低コスト本来の香りを楽しめる果実類(レモン、オレンジなど)の精油抽出に向いている
揮発性有機溶剤抽出法原料を有機溶剤に入れ圧力をかける抽出された溶剤を冷やし固める固めたものをエタノールに混ぜ、加熱する低温で抽出するため香りが強い油分が少ない植物(ローズ、ジャスミンなど)の精油抽出に向いている
超臨界流体抽出法二酸化炭素に圧力を加える(超臨界流体)原料を混ぜ、圧力を下げる低温で抽出するため香りが強い

関連記事:正しいスキンケアの順番は?朝夜でスキンケアを変えるべき理由を解説

エッセンシャルオイルの主な効能

エッセンシャルオイルは好みの香りを楽しむ以外にも、さまざまな効能をもたらすとされています。

具体的にどういった効果が期待できるのか、主な4つの効能をご紹介しましょう。

リラックス効果

エッセンシャルオイルは心身の緊張を和らげ、リラックス効果をもたらすとされています。

特に代表的なのがラベンダーやカモミールなどで、これらの香りは緊張した体をリラックスさせ、ストレス軽減や安眠に役立ちます。

特に仕事や家事に忙しく慢性的なストレスを抱えている方は、エッセンシャルオイルを日常生活に取り入れることで、心のバランスを整えられるでしょう。

集中力の向上

ローズマリーやユーカリは脳を刺激し、集中力を高めたり思考をクリアにする効果が期待できます。

特に、勉強や仕事の合間に使用することで集中力を維持しやすくなり、効率的な作業を助けてくれます。

美容効果

エッセンシャルオイルを含むスキンケア製品を皮膚に塗布し浸透させるという使い方もできます。

たとえば、ラベンダーやイランイランなどのエッセンシャルオイルは肌の調子を整える効果が期待でき、これらが配合されたスキンケア製品も多く販売されています。

抗菌?抗ウイルス効果

レモンやユーカリなどのエッセンシャルオイルには、空気中のウイルスや細菌の繁殖を防ぐ効果があるとされています。

このような抗菌や抗ウイルスの効果を活かし、風邪などの感染予防に用いられることもあります。

エッセンシャルオイルのおすすめの使い方

エッセンシャルオイルは目的に応じてさまざまな使い方があります。代表的な使い方をいくつかご紹介しましょう。

芳香浴法

芳香浴法とは、エッセンシャルオイルの香りを空間に広げて心身をリラックスさせる方法です。エッセンシャルオイルの定番の使い方として人気があります。

専用のディフューザーやアロマランプを使い、数滴のオイルを加えることで部屋全体に香りが広がります。

その日の気分に合わせて香りを変えられるため、気軽に始めたいという方にはおすすめの使い方といえるでしょう。

バスタイムの使用

エッセンシャルオイルをバスタイムに取り入れると、香りのリラクゼーション効果と温浴効果を同時に楽しめます。

使い方は簡単で、湯船に2~3滴のオイルを加えるだけです。少量のエッセンシャルオイルでも浴室全体に香りが広がり、体の緊張をほぐしてくれます。

拭き掃除への活用

抗菌?抗ウイルス作用のあるレモンやユーカリなどのエッセンシャルオイルは、拭き掃除にも活用できます。

基本的な使い方は、エッセンシャルオイルを数滴加えた水で雑巾を絞り、普段通りに拭き掃除をするだけ。

床やテーブルなどに抗菌作用をもたらし、部屋全体にも爽やかな香りが広がります。

ヘアケアへの利用

ローズマリーやイランイランなどのエッセンシャルオイルは、頭皮の健康を保ち髪にツヤを与える効果も期待できます。

使い方は、普段使用しているコンディショナーにオイルを数滴加えるだけですが、香りが混ざる可能性もあるため、無香料のコンディショナーと組み合わせるのが理想的です。

関連記事:BCAA(分岐鎖アミノ酸)の効果とは?EAAとの違いを解説!

エッセンシャルオイルを選ぶ時のポイント

雑貨店やスキンケア製品を扱っているお店では、さまざまなエッセンシャルオイルが販売されています。

あまりにも種類がありすぎてどれを選べば良いのか分からなくなる方も多いでしょう。

そこで、最低限押さえておきたい選び方のポイントを3つご紹介します。

香りのタイプで選ぶ

好みの香りがあればそれを選ぶのがベストですが、エッセンシャルオイルにはいくつかの香りのタイプがあることを理解しておくと選びやすいでしょう。

大まかに分けると以下の7タイプが存在します。

  • フローラル系:ラベンダー、イランイラン など
  • 柑橘系:レモン、グレープフルーツ など
  • ハーブ系:ローズマリー、タイム など
  • オリエンタル(エキゾチック)系:サンダルウッド など
  • バルサム(樹脂)系:バニラ など
  • スパイス系:シナモン、コリアンダー など
  • ウッディ(樹木)系:ヒノキ、ヒバ など

目的の効果に合わせた成分で選ぶ

仕事の疲れを癒やしたいときや、前向きな気分にしたいとき、仕事に集中したいときなど、目的やシーンに応じてエッセンシャルオイルを使い分ける方法もあります。

  • リラックスしたいとき:カモミール、ラベンダー など
  • 前向きな気分にしたいとき:ベルガモット、ジャスミン など
  • 集中力を高めたいとき:レモン、ローズマリー など
  • イライラした気分を鎮めたいとき:ペパーミント、サイプレス など

品質を重視して選ぶ

エッセンシャルオイルはさまざまなメーカーの製品が販売されており、品質もさまざまです。

特に注意したいのが製品のラベルやパッケージに「成分分析表」が記載されているかどうかです。

これは芳香成分の含有割合や抽出方法、原料および抽出部位などが記載されているもので、製品選びの重要な参考材料になります。

また、適切な保存容器に入っているかも重要なポイントとなります。

紫外線による劣化を最小限に抑えるためにも、濃い茶色の遮光ビンに入ったエッセンシャルオイルを選びましょう。

エッセンシャルオイルの使い方で注意したいこと

エッセンシャルオイルは正しい使い方を理解しておかないと、健康に悪影響を及ぼしたり品質低下を招くおそれがあります。

どのような点に注意すべきか、4つのポイントをご紹介しましょう。

原液を直接肌につけない

エッセンシャルオイルは濃縮されているため、原液を直接皮膚に塗布すると刺激が強く、肌トラブルの原因となることがあります。

使用する際は、植物油(キャリアオイル)で希釈するなど安全な方法で使用しましょう。

また、敏感肌やアレルギー体質の人は注意が必要ですが、使用前にパッチテストを行うと肌トラブルを最小限に抑えられる可能性があります。

光毒性に注意する

エッセンシャルオイルの中には、紫外線に反応して肌にダメージを与える「光毒性」を持つものがあります。

特に、ベルガモットやレモン、グレープフルーツなどは光毒性があるため、これらを含むオイルを肌につけた後は直射日光を避けることが重要です。

また、エッセンシャルオイルを含むスキンケア製品を使用する際にも「使用後は直射日光を避ける」旨の表記がないかも確認しておきましょう。

飲用しない

エッセンシャルオイルを口に入れたり飲んだりした場合、重篤な健康被害を及ぼす危険性があります。

特に、小さな子どもがいる場合、誤飲を防ぐためにも保管場所を見直し、安全に使用しましょう。

保存場所に注意する

エッセンシャルオイルは高温や直射日光に弱く、品質が劣化しやすい性質があります。

直射日光が当たらない風通しの良い場所に保管し、使用後はしっかり蓋を閉めて酸化を防ぐようにしましょう。

正しい保存方法を守ることで、エッセンシャルオイルの香りと効果を長く楽しむことができます。

エッセンシャルオイルに関するよくある疑問

エッセンシャルオイルの使用にあたり、多くの方が抱く疑問や不安について解説しましょう。

エッセンシャルオイルはペットのいる家庭でも使える?

犬や猫などのペットを飼っている家庭において、エッセンシャルオイルを使用しても問題がないか、という不安の声を耳にすることがあります。

結論からいえば、エッセンシャルオイルの中にはペットにとって有害な物質やストレスをもたらす成分も入っていることから、ペットのいる家庭で使用することは避けたほうが良いでしょう。

ペット用品店やホームセンターなどで販売されているペット用品の中には、自然由来の成分がシャンプーや配合されたものも少なくありません。

しかし、これらはペットに無害な程度にまで濃度が調整されており、私たち人間が使用するエッセンシャルオイルの濃度とは異なります。

エッセンシャルオイルとフレグランスオイルの違いは?

香りを楽しむ製品として、エッセンシャルオイルと混同されがちなのがフレグランスオイルです。

冒頭でもご紹介した通り、エッセンシャルオイルは植物から芳香成分を抽出した天然由来の素材です。

これに対し、フレグランスオイルは石油やアルコール、合成香料などが原料となっており、人工香料ともよばれます。

以上のことから、エッセンシャルオイルとフレグランスオイルは原料や精製方法、価格も異なるのです。

関連記事:健康食品の定義とは|選ぶ際の目印や注意すべきポイントについて

まとめ

エッセンシャルオイルには定番のラベンダーやレモン、ペパーミントなど以外にも、さまざまな香りが存在します。

また、香りのタイプによっても得られる効果は異なるため、用途やシーンによって使い分けてみるのもおすすめです。

ディフューザーを使って部屋に好きな香りを広げたり、バスタイムに活用してみるのも良いでしょう。

さまざまな製品を比較しながら、お気に入りの香りを探してみましょう。

この記事を書いた人

若林 英嗣

  • 所属:理学部 化学?生命科学科
  • 職名:教授
  • 研究分野:有機化学

学位

  • 理学(1989年 東北大学)

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