水田美術館は、9月24日(土)に浮世絵版画の摺り実演会を水田三喜男記念館講堂で開催しました。
公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団に特別にご協力頂き、財団スタッフの解説のもと、浮世絵版画の制作において重要な工程のひとつである摺りを摺師に披露して頂きました。
取り扱った作品は、葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》(大判錦絵46枚揃のうち、天保2年〈1831〉頃)で、主版摺から次第に色が摺り重なる様子を丁寧にご説明頂き、植物性顔料の本藍の柔らかで渋いブルーや、北斎が好んで使用したプルシアンブルー(ベロ藍)の化学合成顔料にみられる鮮やかなブルーが、摺り上がるごとに和紙上に現れ、一分の狂いもなく摺り重ねていく職人の技をご覧頂きました。
大型スクリーンに映し出された檀上での実演の様子をご覧頂きながら、途中グループごとに分けてそばまで近寄ってご覧頂く時間も設け、伝統木版画の繊細な技術と豊かな表現力を目の当たりにし、参加された方々からは多くの質問が出るなど、充実した時間となりました。