このたび、城西大学水田美術館におきまして「水田コレクション展 浮世絵版画の判型」を開催します。
現在の用紙にはA4、B5といった規格サイズがあり、様々な場面や用途によって使い分けられています。江戸時代に誕生した浮世絵版画も同様に色々なサイズ(=判型:はんけい))の紙に摺られていました。初期浮世絵の頃は、用紙の種類や判型に統一性はありませんでしたが、明和期(1764~72)に錦絵(多色摺木版画)が誕生して量産されるようになると、何色もの重ね摺りにも耐えられる奉書紙(ほうしょし)が一般的となり、判型も定まります。浮世絵版画で最も多く摺られていたのは大奉書(おおぼうしょ)を半分に裁断した大判で、中判、細判といった小さな判型も、比較的安く購入できると喜ばれました。柱絵判(はしらえばん)や長大判(ちょうおおばん)など縦長の変形判は、しばしば掛軸装にされ、庶民にはなかなか手の届かない肉筆画のような壁掛け絵として楽しまれました。特殊な判型である団扇絵判(うちわえばん)は、絵の部分が団扇の形をしており、切り取って実際に団扇に張り付けることで、涼をとりながら浮世絵も楽しめる実用に即した判型です。また錦絵を縦、あるいは横に複数つなげた「続物(つづきもの)」が登場、ワイドスクリーンによるダイナミックな構図や奥行きのある空間表現が可能となりました。
本展覧会では、初期から明治期に渡ってバリエーション豊かな判型と続物の作品をご覧いただきます。創意工夫が凝らされた浮世絵版画の世界をお楽しみください。