このたび、城西大学水田美術館におきまして、「2018年度収蔵品展Part1.《大江戸芝居年中行事》 -明治の浮世絵にみる江戸の歌舞伎興行-」を開催いたします。
昨年当館の所蔵となった収蔵品をご紹介する「2018年度収蔵品展」を2回に分けて開催します。第一弾では、 「《大江戸芝居年中行事》―明治の浮世絵にみる江戸の歌舞伎興行―」とし、明治30年(1897)に制作された《大江戸芝居年中行事》26枚揃のうち25点を展示します。
過ぎ去りし「良き徳川時代」を懐かしむ江戸回顧の風潮が明治半ば頃より広がり始め、その求めに応じるように浮世絵作品が続々と企画されました。 本作もその一つで、江戸三座(江戸での興行権を得た中村座、市村座、森田座のこと)の歌舞伎興行の慣習を取り上げて解説を付した25図に目録1図を加えた揃物となります。
描いたのは、幕末から明治期に活躍した安達吟光(1853~1902)と鳥居清貞(1844~1901)です。 『羽根勘三台図絵』、『戯場楽屋図会』(1800)など19世紀初頭に江戸や大坂で出版された版本、いわゆる「歌舞伎鑑賞手引書」を参考にしながら本作は制作されたとされます。
墨摺りの版本では味わえない、鮮やかな多色摺りの浮世絵版画から、江戸時代の歌舞伎に思いを馳せて頂けましたら幸いです。