- この度の展示では、春夏秋冬のうち秋の風物を描いた浮世絵を実物とパネルからご紹介します。江戸時代の暦は月の満ち欠けに合わせて1カ月の日数を定める太陰太陽暦(旧暦)で、現在私たちが用いている太陽暦(新暦)とは季節の捉え方が多少異なります。新暦における秋は9月から11月とされていますが、旧暦では7月から9月が秋となっています。例えば、五節句のうちのひとつ、7月7日の七夕は江戸時代では秋の風物として親しまれ、また、中秋の名月も新暦では9月中旬から10月初旬頃となりますが、旧暦では8月15日に行われていました。旧暦?新暦の違いはあれども、四季の行事を楽しむ風習は昔も今もそれほど変わりはないでしょう。
- ただ、季節の変化を感じるきっかけのひとつである気候に関して言えば、気候変動がもたらす地球温暖化により、海面水温や平均気温の上昇に加え、ゲリラ豪雨、連日の猛暑など今までに経験したことのない異常気象が世界各地で起こっており、ここ日本においても春と秋の期間が短くなるなどで今後は四季から二季になるのではと言われています。
- 本展では、そんな存在が危ぶまれている秋にスポットを当て、浮世絵の中からさまざまな秋を感じていただくとともに、旧暦と新暦による感覚の違いについてもあらためて知りながら、日本の古き良き秋の風物詩に触れていただきたいと思います。
- 浮世絵四季だよりをどうぞお楽しみください。