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理学部数学科 数学セミナーの例



分割数について(代数分野)

自然数nの分割とは、nをいくつかの自然数の和因子の和で書いたものとして、定義します。ただし、和因子は大きい順に並べなくてはいけません。例えば、4の分割は4、3+1、2+2、2+1+1、1+1+1+1の5通りです。これらの自然数の分割はヤング図形というものと同じで、表現論という分野と関係しています。また、自然数nの分割の個数のことを分割数といいますが、これについては、以下のことが知られています。
数学の理論を用いると、一般に、5で割ると4余る自然数5K+4の分割数は5の倍数であることが証明できます。また、自然数nの分割数をp(n)と表すとlimn→∞(logp(n))2/n=(2/3)π2が成り立ちます。円周の長さや円の面積に無関係な左辺の極限値が、実は円周率πを用いて表せるなんて、不思議ではありませんか?この他にも、分割数にはさまざまな美しい性質があります。セミナーでは、分割数を計算したり、テキストの中の分割数に関する公式や定理およびそれらの証明について学びます。

種々の幾何学について(幾何分野)

2点間の距離と言えば、自然にユークリッド距離のことを指し、2点を結ぶ最短線の長さとして捉えます。しかしこれは平面地図上の考えで、東京とニューヨークを地図上で結ぶ道のりは、地球の表面に沿って飛行機で実際に飛ぶ道のりよりはるかに大きい(燃料消費量が多い)ことがわかります。距離(近さ)の概念を一般化することにより大学の幾何学は大きく微分幾何学と代数位相幾何学(トポロジー)に分かれます。前者は近さを計量という概念で捉え、解析的に図形を研究する学問で伝統的にリーマン幾何学と言います。ユークリッド幾何はその一つです。(つまり内角の和が180°より大きな三角形、180°より小さな三角形が出現する幾何学等も存在するということです。ちょうど逆さの円錐を平面でカットしたとき、切り口に放物線、楕円、双曲線がそれぞれ出てくることに対応します。)後者は近さを位置として捉え、代数的に図形を研究する学問であり、伝統的にホモロジー?ホモトピー論と呼ばれます。この世界では、時間とともに連続変形して円板が1点(原点)になるので、円板と1点は同じです。しかしメガネと円周は違います。セミナーでは、図形?空間に実質的な同値関係を与えて様々な幾何学を自由に展開します。

微分方程式とその応用(解析分野)

私たちの身の回りには、微分方程式を用いた数理モデルで解析できる現象がたくさんあります。 容器の中のバクテリアはどのように増殖していくか?3Dテレビなどの耐久消費財の販売台数はどのように伸びるか?惑星はどのような軌道を描いて運動するか?丸い太鼓と四角い太鼓はどのように違う音を出すか?これらはいずれも典型的な微分方程式の問題として捉えることができます。セミナーでは、テキストの講読を通して、微分方程式の基礎理論を身につけるとともに、自然現象や社会現象の解析への応用を学びます。例えば、惑星の運動の章では、太陽の周りを惑星は楕円軌道を描くというケプラーの第1法則、公転速度や公転周期に関するケプラーの第2、第3法則を数学を使って証明します。

統計科学とデータ解析(統計分野)

様々な現象の情報源であるデータから有用な情報を抽出して、自然現象、社会現象を解明するために用いられる統計データ解析手法について学びます。特に、データの可視化、確率?統計の基礎概念、様々な確率分布モデルとその性質、推定?検定などの統計的推測論について学ぶとともに、高次元空間に散らばるデータの特徴を把握し分析するための多変量データ解析の理論および方法論 を身につけます。適用例として、

  1. 緯度、経度、標高などの位置情報からの、ある月の最低気温の推定
  2. 検査データに基づく、どの症候群に属するかの判定
  3. 学力テストの結果や身体?体力測定値などからの新たな総合指標の開発と有益な情報の抽出
  4. などが挙げられ、さらに保険数理、生命科学などのデータの分析に応用します。 計算機による実習を取り入れ、ExcelやRを用いたデータ解析を行います。

情報処理(情報分野)

「情報処理技術者試験」は経済産業省が行う、情報処理の知識と技術に関する国家試験です。 その中から基本情報技術者試験を取り上げ、試験問題を通して、Cプログラミングおよびパソコン利用技術を学習します。 プログラムやフローチャート(流れ図)を読み解くには、数学の論理力が役に立ちます。 毎年、IT分野への就職希望者が多く集まるセミナーの一つになっています。
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